宮崎地方裁判所 昭和55年(わ)56号 判決 1980年7月16日
宣告の日
昭和五五年七月一六日
裁判所
宮崎地方裁判所
裁判官
米田俊昭
検察官
熊澤孝
事件名
所得税法違反
被告人
本籍
宮崎県北諸県郡高崎町大字江平二、四二四番地
住居
同県都城市北原町一一街区五号
医師
吉山政敏
昭和五年一月三一日生
主文
被告人を懲役一年及び罰金一、〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
(罪となるべき事実)
被告人は、医師であつて、宮崎県都城市北原町一一街区五号において北原医院を営むかたわら、乳児院(託児所のこと。但し、昭和五四年三月閉鎖)をも経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、いずれも、主として右医院での保険診療による収入以外の各種収入の多くを除外して所得の一部を秘匿する方法により、
第一、昭和五一年の実際の所得金額が六〇、一三九、七七一円で、これに対する申告により納付すべき所得税額が二九、一九六、九〇〇円(全所得税額から源泉徴収税額一、六二二、五二四円を差し引いたもの)であるのに、昭和五二年三月一五日、同市東町九街区二七号所在の都城税務署において、同税務署長に対し、昭和五一年の所得金額が一九、三四四、八一五円で、これに対する申告により納付すべき所得税額が四、七五八、四〇〇円(全所得税額から源泉徴収税額として一、三八〇、五八〇円を差し引いたもの)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出して、不正の行為により同年分の所得税二四、四三八、五〇〇円を免れ、
第二、昭和五二年の実際所得金額が六七、二八七、七九九円で、これに対する申告により納付すべき所得税額が三三、二四九、一〇〇円(全所得税額から源泉徴収税額二、三九四、四八六円を差し引いたもの)であるのに、昭和五三年三月一五日、同税務署において、同税務署長に対し、昭和五二年の所得金額が二五、八三〇、六七五円で、これに対する申告により納付すべき所得税額が七、七七九、五〇〇円(全所得税額から源泉徴収税額として一、七二九、九三四円を差し引いたもの)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出して、不正の行為により同年分の所得税二五、四六九、六〇〇円を免れ
たものである。
(適用した法令)
一、判示各所為につき、それぞれ所得税法一二〇条一項三号、二三八条一項(各罪につきいずれも懲役刑及び罰金刑を併科)
二、併合罪関係につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(懲役刑につき判示第二の罪の刑に加重)
三、労役場留置処分につき、刑法一八条
四、懲役刑の執行猶予につき、刑法二五条一項
昭和五五年七月三一日
裁判所書記官 湊孝夫
(裁判官 米田俊昭)